『暗号解読』がめちゃくちゃ面白かった
なぜか本棚にあって未読だった『暗号解読(上・下)』を読んでみました。
暗号解読(上) (新潮文庫) | サイモン シン, Singh,Simon, 薫, 青木 |本 | 通販 | Amazon
結論としては世界史、言語学、数学、物理学などさまざまな分野が統合的に組み込まれていて、めちゃくちゃ面白かったです。
暗号技術は現代において必須ですが、中身は正直難しいです。
それを歴史的な側面から「なぜ使われるようになったのか」「どうやって進歩してきたのか」「どのように作られているのか」といったことを知ることができました。
以下ざっと面白かった部分を思い出しながら書いてみます。
暗号方式
暗号には大きく2種類の方式がある
- ステガノグラフィー
- 最古の秘密通信手段
- 文書自体を読めなくするのではなく、そもそも見つからないようにする
- 伝令の髪の毛を剃って、頭に文字を書いて、伸ばす
- カルロスゴーンがカバンに乗って出国したのも一種そうかも
- クリプトグラフィー
- バレてしまっても読めなければok
- 暗号化をすること
カエサル式暗号
初期の頃の代表的な暗号として、カエサル式暗号がある
頻度分析
暗号解読の手法に頻度分析というものが発明された
- 言語学的な側面も使って分析していく
- 暗号文に一番多く出現している文字に、英語で最も多く使われる「e」を割り当てるなど
- 単アルファベット換字式暗号はヌルを使うことで混乱させることができる
イギリスのエリザベス女王 vs スコットランドメアリー女王
暗号初期の頃に起きた「暗号大事!!」となった争いの話
- 弱い暗号を使うくらいなら、最初から暗号など使わない方がましだ」
- 弱い暗号は偽りの安心感を与える
- 暗号を信頼しすぎたためまさか中身が書き換えられているとも思わず、一網打尽にされた
- もし暗号を使っていなかったらもっと警戒したかもしれない
ヴィジュネル暗号
- 平文中の同じ文字がその都度違う方法で暗号化される
- 大変すぎて使われなかった
ワンタイム・パッド法
- 理論上は最強だが実用上の欠点がある。
- ランダムな鍵を大量に作る必要がある
- 鍵を配送しなければならない
ヒエログリフ
ハヴァホ族
これは盲点だった 面白い発想
- 音階や音節が違うのでそもそも聞き取れない
- 盗聴しても聞き取れないので意味がない
無線の発達
- 無線は全て盗聴されるので強力な暗号が必要という前提ができた
ドイツのエニグマ
- 常に暗号解読者が暗号作成者より有利に立ってきたが、解読のモチベーションは必死さとかになるので、ドイツがエニグマを使用して難しい暗号を作った時にはイギリス、フランスの解読のモチベは下がっていた
- ドイツは第一次世界大戦で負けて、もう敵ではないと思っていたから
- ポーランドが解読していたが、連携が遅くドイツに攻め込まれる
- 第二次世界大戦時、連合国側のチューリングがボムというものを作ってエニグマを解読、勝利に貢献した
- 今までは言語学者が重用されていたが、これからの暗号解読には数学者が大事
RSA暗号
- 解読者の頭文字を取ってRSAとなっている
- 鍵配送問題を解決した
- 双方関数ではなく、一方向関数であるの手法であるモジュロ演算に素数を混ぜ込んで使っている
- 素因数分解は十分に大きい数であればスーパーコンピューターでも計算に何億年かかる
- 今のところ解読はされない
- 今のところ暗号作成者が暗号解読者より有利に立っている
- しかし歴史上必ず暗号は解読されてきた
- 素因数分解は今のところ総当たりで計算することになっているが、総当たりしなくてもできるようになるかもしれない
- もしくは計算自体がめっちゃ早くなるかもしれない
量子コンピューター
- 概念が難しい。。僕自身きちんと理解できていない
- 量子は「波動性」と「粒子性」の二面性を持っている
- 古典物理学ではコンピューターは0と1だけを認識して計算を行なってきたが、量子の概念を使うと0と1の重ね合わせができる
メモ的に書き殴ってみました。 量子コンピューターなどももっと勉強してみたいなと思いました。